コラム

今更聞けないバイクの話「エンジンオイルの役割と種類」

コラム


みなさんはバイクのエンジンオイルを選ぶとき、何を基準に選んでいますか?
エンジンオイルって、「SAE」とか「10W-50」とか「鉱物油」とか「合成油」とかわかりにくいですよね。

バイクのエンジンオイルはバイク本来の性能を発揮すると共に、バイク自体の寿命を長く保つためにとても大事なものなんです。

そこでここではバイクのエンジンオイルの役割と種類についてまとめてみました。

そもそもエンジンオイルって何のために入れているの?



エンジンオイルは大きく分けて下の5つの役割があります。

潤滑(部品同士の動きをよくする)

エンジンは金属の部品の塊です。
それが高速で擦れ合いながら動いているので、少しでもオイルで滑りを良くしてあげることで、部品の寿命が伸びたり、スムーズにエンジンが回ります。

冷却(エンジンを冷やす)

オイルはエンジンの中を順番に回っています。
エンジンの各部の熱をオイルの中に取り込んで冷たい部分で放熱することでエンジンの温度が上がりすぎるのを防ぐ効果があります。

密封(部品同士の密着度を高める)

エンジンは部品同士が動くためにごくわずかな隙間があります。
ですが、その隙間はエンジンの爆発力を逃してしまう原因でもあります。
エンジンオイルが潤滑の役割も含めて部品同士の隙間に入り込むことで密封し、エンジンの爆発力を効率よく使えるようにしてくれます。

洗浄(汚れを落として綺麗な状態に保つ)

金属の部品同士が擦れ合うと必ず削れた金属の粉が出ます。
また、ガソリンが燃えたススなどもエンジン内部に残ります。
汚れはエンジン内部を傷つけ、パワーダウンを誘発したり、エンジンの故障に繋がる場合も・・・
オイルが汚れを取り込んで洗い流すことでエンジン内部を綺麗に保ちます。

錆防止(金属の表面に膜を張る)

エンジン内部は意外と水分があります。
吸い込まれた空気に含まれる水分が駐車中のエンジンが冷えることによって結露を起こすと、錆びる原因につながります。
エンジンオイルは金属の表面に膜を作るので、錆から守ってくれます。

エンジンオイルのグレードってどういうこと?



エンジンオイルには業界団体が決めた品質規格により様々な分類をされています。
バイクに関係したものは下の種類が主なものです。

API規格(オイルの品質規格)

エンジンオイルその物の性能を最新のエンジンで様々な観点からテストして決められています。
ガソリンを使用するエンジンは「S」で始まり、「SA」から「SN」グレードの12段階中、
「SN」グレードが最高の品質規格に合格したオイルという見方になります。


オイルグレード図解

※「SI」は「I」と数字の「1」を間違い易く、「SK」は同じ名前の石油関連会社が存在したため欠番

SAE規格(オイルの粘度)


10W50説明画像

よくエンジンオイルの説明に「10W-40」とか「5W-30」という表記をみたことがないですか?
これはSAE規格と呼ばれるオイルの粘度(硬さ)を区別した表記です。
一般的に「W」の前に書かれている数字が小さいほどエンジンが低温の時に硬くなりにくく性能を発揮できるとされ、「-」の後に記載されている数字が大きいほどエンジンが高温の時に強い油膜を保持するとされています。

鉱物油と化学合成油の違い


合成方法図解

エンジンオイルは「化学合成油」「部分合成油」「鉱物油」3種類に大きく分けられます。
これは「ベースオイル」の違いで、基礎となるオイルの製造方法の違いとなります。

  • 鉱物油は製造コストが安く費用面で優れますが、劣化が早いなどデメリットがあります。
  • 化学合成油は化学的に合成されたオイルで高品質ですが、コストが高いのがデメリットです。
  • 部分合成油は両者を混合したもので、その混合比率によってコストも品質も変わってきます

エンジンオイルっていつ交換すればいいの?

エンジンオイルには汚れを洗浄する効果があるとご説明しましたが、エンジンの汚れを洗浄するということはエンジンオイルは汚れるということです。
また、エンジンの中にあるオイルは高温と低温を頻繁に行き来するとても過酷な環境です。
オイル自体が熱によって少しづつ劣化していくことも忘れてはいけません。

目安の交換時期

エンジンオイルは予算や時間が許せばこまめに交換すればするほどエンジンにとっては理想的です。サーキットを走るようなバイクになると毎回オイル交換をするほどです。
ですが、通常の使い方をしている限りそこまでの頻度は必要ありません。

一般的には前回のオイル交換から走行距離が3,000km~5,000km、または期間にして6ヶ月ごとと言われていますが、バイクの使い方によってオイルの交換時期は大きく前後します。
(オイルフィルターの交換はオイル交換2回に1回は最低でも交換してください)

毎週、高速道路や峠を走るなどエンジンを高回転にする時間が長い場合と月に何回か近所への買い物の時しか乗らないという場合は、同じ交換頻度ではダメという事がお分かりいただけると思います。

また、長くオイルを変えていなかったバイクに急に性能のいいオイルに変えるとエンジン内部の汚れなどが一気に落ちて各部に詰まってしまい急に調子が悪くなる、なんて場合もあるようです。

それぞれにあったオイル交換の時期はバイクショップにご相談されることをお勧めします。

まとめ

エンジンオイルって奥深いですね。
必ずしも高性能なオイルを選べば間違いないということではなく、旧車など設計が古いバイクは鉱物油をおすすめされる場合もあるみたいです。

また、粘度に関しても素人目で見ると前の数字と後の数字の差が大きいオイル(例えば10W-50とか)を選べばいいのかなと思いきや、高温時に粘度が高すぎるとエンジンの性能を発揮できないことがあるんです。

予算、バイクの種類、目的、頻度などを総合的に判断して選ばなければいけませんね。
なかなかその判断は難しいと思いますので、ぜひ一度バイクショップにご相談してみてください!


戻る