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今更聞けないバイクの話「チョークってなに?」

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以前キャブレターとインジェクションの違いについてをご紹介しましたが、キャブレター車だと「チョーク」という機能がついている場合があります。

これからの寒い時期にエンジンをかける場合お世話になる可能性の高い「チョーク」ですが、仕組みや意味を知らずに使用されている方も多いのでは?

そこで今回は「チョーク」とはどういうものかについてご紹介します。

※インジェクション車はチョークがありませんが「必要ない」ということではなく、インジェクションの機械が自動的にチョークを使用した時と同じ状態に調整しています。

まず、キャブレターの構造についておさらい



キャブレターはエンジンに吸い込まれる空気の流れによって一時的に空気の通り道が負圧(圧力の差)が発生し、そこにガソリンが吸い上げられることによってガソリンと空気が混ざって混合気となります。

この構造のメリットは燃料の供給に動力を必要とせず、構造が簡単なため、軽量で整備しやすいことです。

ですが、エンジンの状態に関わらず、単純に入る空気の量に比例して吸い上げられるガソリンの量が決まるため、常に供給される混合気(ガソリンと空気が混ざったもの)のガソリンの濃さ(割合)が一定となります。

外気温が暖かい場合は問題ないのですが、外気温が低くて、エンジンも冷え切っている場合はエンジンが始動しにくくなってしまいます。

なんで低温時はエンジンが始動しにくくなってしまうの?

空気の密度が大きく関係しています。

同じ圧力の空気で比べた場合、空気の温度が高いと密度が低くなり、温度が低いと密度が高くなります。



温度が高いと空気の分子が激しく動くため密度が低くても圧力がかかりますが、気温が低いと分子があまり動かないため、たくさんの分子が集まらないと同じ圧力にならないからですね。

キャブレターは負圧(圧力の差)で空気とガソリンを吸い込む仕組みのため、同じ圧力の環境下では気温が高い時よりも気温が低い時の方が吸い込む空気の密度が濃くなることがわかります。

ですが、負圧によってガソリンを吸い上げるキャブレターの構造上、同じ圧力下で空気の密度だけが変わる場合、吸い上げられるガソリンの量は大きく変わりません。
そのため、相対的にガソリンの量の割合が少なくなり、いわゆる混合気が「薄い」状態が作り出され、なかなか火がつきにくい状況になるということなんです。

チョークってどういう意味?

英語でchokeと書き、本来は「窒息させる」とか「塞ぐ」、「息苦しくさせる」といった意味で使われます。

ちなみに黒板に使用するチョークは英語でchalkと書きます。
英語でchokeと書き、本来は「窒息させる」とか「塞ぐ」、「息苦しくさせる」といった意味で使われます。

ちなみに黒板に使用するチョークは英語でchalkと書きます。

チョークはどういう仕組みなの?

英語の意味の通り、本来のチョークはキャブレターの空気の通り道を強制的に狭めることで空気の量を少なくします。
相対的にガソリンの割合を高くすることによって混合気の濃い状態を作り出し、点火しやすくします。

ですが、最近のバイクのキャブレターにおいては、上記とは異なる「チョークレバーを引くと通常は使用しないガソリンを吸い上げる管をもう一本開き、直接的にガソリンの量を増やす」という方式が主流となっています。

チョークはどのように使用するの?

車両のハンドルスイッチについている場合と、キャブレター近くについている場合があります。

大抵の場合矢印がついていますので、矢印の方向に動かすとチョークがONの状態になり、燃料が濃くなります。

チョークは使用したまま長時間走行してしまうとエンジン内部に濃すぎるガソリンが供給され続けることになってしまうためよくありません。

必ず、始動しにくい時だけ使用し、エンジン始動後アイドリングが安定したらチョークを解除することを忘れないようにしましょう。

ちなみに、チョークレバーのほとんどについているこのマークですが



キャブレター内部で空気を遮断するチョークバルブを模したものです。

まとめ

インジェクション車が多くなったため、チョークというものに触れる機会はかなり減りました。
ですが、バイクは車に比べてキャブレターを使用しているバイクが多く走っているので、今後もチョークに触れる機会はあるかもしれないですね。

チョークを使うとき、どのような目的でどのような仕組みのものを使っているのか理解して使用すると、より効果的に利用できるかもしれません。



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