こんなバイクがあったんだ!「キリンジャー&フロイント(ドイツ)」
長いバイクの歴史の中には今では考えられないようなバイクや、ロマンあふれるバイク、名車だったのに時代やタイミングのせいで短命だったバイクなどがあります。
そんなバイクをご紹介していくこの企画、シリーズ第2弾は前回ご紹介したメゴラのファンが開発したこの車両です!
5人の技術者が集まって開発!「キリンジャー&フロイント」
1925年で製造が終了してしまったメゴラ(メゴラの記事はこちら)のコンセプトはたくさんのライダーの心を掴んでいました。
中でも特に熱狂的なファンだったロバート・キリンジャーとウォルター・フロイントを含む5人の技術者が集まり、メゴラのコンセプトを受け継いで開発したと言われているのが「キリンジャー&フロイント」と呼ばれている車両です。
ロバート・キリンジャーはエンジン、ウォルター・フロイントはフレームデザインを担当し、ちょうどメゴラが生産を終了してから10年後の1935年にメゴラをより合理的に改良した車両を作りたいという思いのもと開発に着手されました。
作品は完成までに3年を費やしたと言われますが、1938年に出来上がった車両は素晴らしく、排気量はメゴラとほぼ同じ600ccにも関わらず、当時の100ccエンジンが搭載されているレベルのバイクよりも軽量に作られており、見ての通り空力も考慮されていました。
車両は別名「平和の鳩」や「最終勝利」という名前がついていたとも言われています。
どんなバイクだったの?
メゴラの熱狂的ファンだった開発者たちは、前輪にエンジンを入れる前輪駆動という形にこだわったようで、3気筒のエンジンを新規開発しています。
3つの偏心したシリンダーから取り出した動力を中心の大きなギアに伝えているのがわかりますね!
何台製造されたの?
完成当時のモーターショーでプロトタイプが展示され、大好評を博したこのバイクですが、実は1台も量産されていません。
完成の翌年に第2次世界大戦が勃発し計画自体が中止に追い込まれてしまったそうです。
アメリカ軍がドイツを占領した当時、この車両を回収してしまった際の写真も残っています。
1945年にアメリカで発見された時には無残な姿でした。
現在は1台も完全な状態では残っていないそうです。
まとめ
熱狂的なファンが驚くべき熱意によって製作した「キリンジャー&フロイント」ですが、時代の荒波に飲まれて、世界中のバイクファンに届けられなかったというのはとても残念です。
現在見ても洗練されたデザインで、素敵なバイクですね。
参考:http://www.berglaufpur.de/berglauf/Motorrad_FriedenstaubeFreundKillinger.htm