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今更聞けないバイクの話「ガソリンのリザーブってどういうもの?」

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先日バイクに乗り始めた友人から「ガソリンのリザーブタンクってどこから給油すればいいの?」と質問されました。

その友人にガソリンタンクの構造について説明したところ、「コックを切り替えるから、てっきり別のタンクがあると思ったよ」とのこと。

確かに、あまり説明されない部分なのでわかりにくいですよね。
そこで今回はバイクのタンクの仕組み「リザーブについて」をご紹介させていただきます。

※インジェクション車や燃料計がついている車両など、最近の車両にはコック自体が存在しなかったり、コックがあってもリザーブがない場合があります。

そもそもリザーブってどういう意味?

英語では「reserve」と書き「予備、予約」という意味です。



上の図はガソリンタンクについているガソリンコックを簡単に表しています。
コックのレバーのところをよく見ると「ON」と「OFF」以外に「RES」がありますよね。

この「RES」がReserve(リザーブ)のことになります。
リザーブは何をするところなのでしょうか?

リザーブは何のためにあるの?

リザーブはガソリンコックが「ON」の位置でガス欠症状が起きた際に「RES」の位置に変えると、しばらく走ることができる機能です。

ではなぜそんなことができるのか。
下の図をご覧ください。



この図は先ほどのガソリンコックの上のタンクの部分を簡単に図に表したものです。

通常ガソリンコックを「ON」にして走っているときは長い方のパイプからガソリンを吸い込んでいる関係上、青いラインまでガソリンが減るとガス欠症状が出ます。

その際にコックをリザーブの位置に変えると短いパイプからの吸い込みに変わるため、青いラインから赤いラインまでの差分のガソリンを使うことができるという仕組みなんです。

基本的にバイクは4輪と違いガソリンの残量計のようなものついていないバイクが多く、走行距離や燃費を考えて走っていないとガス欠になってしまう場合があります。

そのため、一旦「ON」の状態で走っていてガス欠症状になったら、「RES」に切り替えて「早めにガソリンスタンドで給油してね」という意味でこのリザーブ機能が用意されています。

見て分かる通り、リザーブが別のタンクになっているわけではないのです。

リザーブの使い方の注意点

大抵の方はリザーブを使い切る前に必ず給油されますし、大多数の方は先ほどの青いラインのガス欠の段階で給油されると思います。

普段はそれでいいのですが、注意点があります。

それはガソリンタンク内に溜まる水分です。
特に梅雨や寒暖差の大きい時期に起こるのですが、タンク内の空気が結露して水分発生すると、ガソリンよりも水の方が比重が重いので、タンクの底の方に溜まります。

常に青いラインで給油を繰り返してしまうと、下の図のように水分の多いガソリンが溜まってしまい、一向に排出されないという状況が生まれてしまいます。



こうなってしまうとガソリンを一旦処分しないとどんどんガソリンの水分の割合が多くなっていき、最悪の場合エンジンの始動不能の可能性も出てきます。

こうなってしまう前に、数回の給油に一度、満タン給油の直後にガソリンコックをリザーブの状態で数キロ走行し、できるだけ全体のガソリンを満遍なく使うことをお勧めします
もちろん、ある程度走行したらコックを通常の位置に戻す事を忘れてしまわないよう注意します。

もしガソリンコックをリザーブにしてエンジンが始動しにくくなったり、始動不能になるようなことがあれば、ガソリンコックやドレンと呼ばれるところからガソリンを直接排出して、交換しなければいけません。
エンジンにも悪い影響が出てしまうので、すぐにバイクショップに相談してください。

冬季の長期保管の際は注意しましょう

先ほどの水分の関係ですが、冬場乗らないから保管するという方はガソリンタンクをできるだけ満タンに近い状態で保管します。

ガソリンタンク内に水分の原因になる空気ができるだけない状態にする意味と水分が結露するタンクの内壁ができるだけ露出していない状態にする意味があります。

まとめ

リザーブタンクの仕組みがわかると注意しなければいけない点も見えてきました。

水分以外にもガソリンが古くなって劣化すると成分が変質して粘度の高い残留物が溜まることもあるので、定期的にガソリンを使い切るということもメンテナンスとして必要なのかもしれませんね。


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